エコノスシティ深井

INTERVIEW堺市の街づくりインタビュー

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外観完成予想図

FUTURE

2050年カーボンゼロシティを掲げる
堺市の取り組みをご紹介!

SUSTAINABILITY

脱炭素先行地域推進室 インタビュー

世界遺産である百舌鳥・古市古墳群を有し、日本のものづくりを支える中小企業が数多く立地する堺市は、
古くから多様な文化や価値観を受け入れ、新しいものを生み出してきました。
この伝統を受け継ぎながら、先進的な環境政策を推進するために企業・団体・地域の人たちと連携し、
SDGs達成に向けさまざまな取り組みを行っています。
そんな持続可能な堺市の未来づくりを行う、
堺市環境局 カーボンニュートラル推進部 脱炭素先行地域推進室のお二人に話を伺いました。

堺市環境局
カーボンニュートラル推進部
脱炭素先行地域推進室 奥村さん

堺市環境局
カーボンニュートラル推進部
脱炭素先行地域推進室 増田さん

堺市がSDGsに取り組む理由は?

低炭素から脱炭素へ。
環境への取り組みをさらに強化

堺市は町工場も多く、臨海部には高度経済成長を支えた大規模工場群がある産業都市。そのような中でかつては公害が深刻な問題になった歴史もあり、その反省から市の責任として率先的に環境問題に取り組んでいるというのが背景にあります。2009年には内閣府により環境モデル都市に認定され、より先進的な取り組み行ってきました。そして昨今の世界の脱炭素化への流れを受け、2021年に新たに堺環境戦略を策定。2050年カーボンゼロを明確に位置付け、今までの「低炭素」から一歩前進した「脱炭素」を目標として掲げました。

市民一人ひとりの環境行動の変容を

今回の住宅地開発のように、住宅の断熱性能を上げたり、エネルギー効率を高めるZEH支援事業と合わせ、環境学習という形で、小・中・高・大学生までいろんな世代の子どもたちに、環境に触れ学ぶ機会を提供する活動を続けています。目標として掲げる「2050年ゼロカーボン」を達成するためには、最終的には市民一人ひとりの環境行動の変容が絶対に必要。そのために、まずは普段の生活の中でできる、環境のための小さな行動から呼びかけ続けることが必要だと考えています。
少し前までは環境対策というと、ごみ処理や公害問題など、マイナスを取り戻すという考え方。現在は子育てや食品ロス、ZEHなど、環境が関わらない事業はないくらい。いかに環境に良いこと、プラスを積み上げていくかという考え方に変わってきていると実感しています。

脱炭素先行地域に選定!

脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、地域特性に応じた地方創生やまちづくりにも資する多様な脱炭素化モデルの創出が期待されるエリア。2009年1月に政府より環境モデル都市に選定され、率先して地球温暖化対策に取り組んできた堺市は、新たに策定したカーボンニュートラル実現をめざす先進的な提案が高く評価され、2022年、大阪府で唯一「脱炭素先行地域」に選定されました。
(全国で62地域(2023.6時点))

脱炭素先行地域選定の評価ポイント

  • 都心エリア

    SMI(堺・モビリティ・イノベーション)プロジェクトとの連携や
    市庁舎のゼロエネルギー改修が評価

  • 泉北ニュータウン
    エリア

    新たに創出される住宅への取り組みが、全国で抱える
    ニュータウン問題の解決のモデルになることを期待

ゼロカーボンに
向けた具体的な取り組み

各種補助制度で創エネを支援

エネルギーの消費量が多く再生可能エネルギーのポテンシャルが低いエリアが堺市の多くを占めているため、エネルギーの需給がアンバランスになりがちです。住宅に関しては、太陽光発電の導入に対する「堺市スマートハウス化支援事業補助金」や、ZEH+に対する「堺市ZEH支援事業補助金」などの補助制度を実施。また、市役所としても率先して実施CO₂の排出量を減らし、取り組みをリードしています。

また、産業都市である堺市のCO₂排出量の半分近くは工場から。産業活動を停滞させずに、いかに活性化させながら脱炭素に寄与することができるかが、カーボンニュートラルの達成に必要不可欠になります。そのために企業への省エネアドバイザーの派遣や「事業所向け省エネ設備等導入支援事業補助金」など、企業が使うエネルギー量を減らす省エネを推進しています。SDGsを公民共働・共創により推進する「さかい SDGs 推進プラットフォーム」を設立し、2050年のカーボンゼロ達成に向けて、地元企業と共にチャレンジしているところです。

公民共働・共創でSDGsを推進!

行政が単独で環境への取り組みを行うのではなく、地域の企業や団体と広く協働してSDGsを推進するためのプラットホーム、「さかい SDGs 推進プラットフォーム」。2023年6月現在で1,208会員(企業・団体)とともに様々な活動を行っています。

市役所入り口に掲示されたロゴマークは、持続可能性と古墳の悠久性をイメージし、職員自らが考案。

2050年カーボンゼロへのみちのり

※概念イラスト図

堺市の「住まい」のこれから

2009年に環境モデル都市に認定されてから、率先して環境についての訴求をし続けてきました。例えば、太陽光発電の導入補助金や、ZEH+に対する「堺市ZEH支援事業補助金」などの補助制度を実施しています。戸建住宅等への太陽光発電の導入支援等により、市域面積当たりの太陽光発電の導入容量は政令市で第1位。住民の方の意識も高いと感じています。

※堺市地球温暖化対策実行計画(2022年11月)、「市域面積あたりの太陽光発電導入容量(2021年3月末時点)」に掲載

加速するカーボンプライシングにも対応

堺市では、2018年からZEHへの補助制度をスタートさせていますが、その年にちょうど大きな台風があり、堺市内でも大規模な停電が発生しました。その災害の後から、ZEHや蓄電池の設置が増えました。実際に停電などを経験すると、災害時にも「創エネ」ができる家はとてもメリットが大きいと言えますね。そのような災害への備えとしてももちろんですが、今後、エネルギーコストを価格に上乗せすることで、消費者がCO₂の排出量の少ない商品へと誘導する「カーボンプライシング」は加速していくでしょう。そのために今できることとしては、建てる時から省エネや創エネを意識した体躯の住まいを創ることだと考えます。

市としても、そういった住まいづくりを後押しするために、補助金制度やフォローアップなど、さまざまな支援を行っています。実際にZEHを採用した方にアンケートなどをすると、光熱費が下がったと実感している方が多いですね。購入時のコストは少し高くなりますが、これからずっと住む家なので、決して損ではないと思います。
また、高気密・高断熱の住まいはヒートショックなどのリスクを回避し、健康増進にも寄与するというデータもあります。街全体で取り組むことで、地球環境にも人にも優しく、住みやすい環境づくりを推進していきたいと思っています。

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